コピック岩井渓一郎さんインタビューバナー画像

何を隠そう、「コピックを釣具店に流通させよう!」と社内でプロジェクトが立ち上がったのも、この御方の書籍でコピックが紹介されていたのがきっかけの一つでした。

レジェンドの"ものづくり"に向き合うそのクリエイティビティ、イメージを形にするプロセスは、
製品と情報が溢れかえった現代に生きる我々にとって、とてもハッとさせられるものでした。

岩井渓一郎さんとコピック岩井渓一郎
プロフィール
秩父と世田谷区を拠点に、御年69才を迎えてもなお現役な
フライ・フィッシング界のレジェンド。
渓流釣りのロングティペット・リーダーシステムの元祖であり、
バス〜ソルトフィッシングとジャンルを横断する画期的な「イワイ・ミノー」を生み出した。



コピックで塗ったイワイミノーの画像
岩井さん特製、コピックで着色されたイワイミノー


●「イワイ・ミノー」  イメージを形にするまで

ーVARIVASさんの動画をYoutubeで拝見し、フライタックルでシーバスを見事に釣り上げるその手捌きはとても新鮮な映像でした!バス〜ソルトフィッシングとジャンルを横断するこの画期的な「イワイ・ミノー」はどの様に誕生したのでしょうか?


まず、
フライタックルで淡水のバスを釣りたいと思ったんだけど、既存のフライ(ストリーマー)は全くアピールできなかったの。
フィッシュイーターの魚をリアクションバイトで喰わせたい。
そのためにより小魚に近い形状と動きで、かつ、
浮いて&(フライタックルでも)軽くても飛ぶものじゃなきゃ、というイメージはあった。

この「イワイ・ミノー」の着想から完成までに5年の歳月を要したね。
僕はパソコンを触ったことないし、いまでもインターネットもメールもやったことないんだよ。
イメージを固めて、情報や必要な部材は足で稼いで、野尻湖や桧原湖までの片道350kmを幾度となく車を飛ばしてテストした。
お金と時間は相当費やしちゃって大変だったけど、そのプロセスは究極の遊びと捉えていたしイメージ通りのものが出来上がった感動は何にも変え難かったね。

ボディの素材は、
建築材料のバックアップ材が使われている。
浮力の高い素材を求めて渋谷の東急ハンズに通ってフロアを隈なくまわり、たまたま床に置いてあった段ボールから"ピロっ"て顔を出してたシーリング材料のバックアップ材に行きついた。

皮のチューブは、実家が西陣織をやっている京都の友人から手に入れた。
帯留めに使われている繊維の原材料でバルクでしか仕入れられないから、いまだに業者並に家に膨大な在庫があるんだよ笑
でも、このキラメキ具合は唯一無二だよ、なんたって京都の西陣織の帯留だからね!



イワイミノーの素材秘蔵の"バックアップ材"と"西陣織の帯留"



ー今日岩井さんに見せたくて、初めてオリジナルイワイミノーを巻いてきました!いかがでしょうか?

、、、ぜーんぜんだめだな。泳がないだろ、これ?

ー意外と厳しいですね笑 イワイミノーを定義づけるポイントはなんですか?

極論言うと僕が巻いたもの以外はイワイミノーではないよ、似た様なものが商品化して売ってるけど笑
ロイヤルティを取るとかそう言う話ではなく、みんな自由に巻いて楽しんでほしいんだけど、
他との違いは材質と、空気抵抗を受けない形状だよ。
お腹が真っ平で、頭も背中もスッっと鋭角だろ?
僕は車が好きでGT-Rのウイングとかから着想を得てる、分かりやすく言えば新幹線を意識してみて。
君のは"こだま"で、僕が作ったのは"ひかり"、
僕も最初は丸い"機関車"からスタートしてるから、まあ1000本も巻けば綺麗な形になるよ笑

僕はこれでニュージーランドでキハダマグロまで釣ってるから、いろんな釣りで試してみてほしい。



コピックで塗ったイワイミノーの画像スポーツカーから着想した流線型のボディ


コピックで着色されたイワイミノーでシーバスを見事に釣り上げるVARIVASさんの動画。
シーバス釣りはイワイミノーが世に出る前までは、東京湾&大阪湾において、日中トップの釣りでは釣れないと言われていたそうです。
まさにゲームチェンジャー的発明!

 

●コピックとの出会い

ーコピックはどの様に見つけたんですか?

バスプロ 故 本山博之くんの弟子、関谷さんっていう刑事さんから「ルアーの補修用に買ったらすごくいい」って教えてもらったの。
昔自宅から近くの祐天寺に画材屋さんがあったから、すぐに行って片っぱしから買った。
(その画材店はコピックチャオのみのお取り扱いだったらしく、以来ずっとチャオをご愛用)

コピックは透明染料だからイワイミノーのキラキラ反射するチューブ素材と相性が良くて。
同じ黄色を使っても、不思議と、
単色でつかう時と、反対色と組み合わせて使う時で、黄色にもなるし、金色にもなる(見える)んだよ。
さらにコピックは黄色も何色もあるから、薄い金にも、濃い金にもできるだろ?組み合わせは無限大だよ。

最初は視認しやすい色を選んでいたけど、イワイミノーはフローティングミノーだから、釣れなくても好きな色で塗ったものが泳いで見てるだけでも楽しいのよ。
四季折々のフィールドの状況とか、その土地に生息するものをイメージして、色を選ぶ楽しさ、作る楽しさはたまんないね。

イワイミノー、コピックの金と黄色イワイミノー、コピックの金と黄色の表現について



●おすすめカラー

ー以来、買い足されたコピックがご自宅に300本以上あると伺いました、そんな岩井さんのおすすめカラーを教えてください

芦ノ湖のレンタルボート屋で育った、バス・トーナメンターの山木君(漁協組合の組合長) が、
「岩井さん、芦ノ湖で一番釣れる色知ってますか?湖で散々テストして何回でも追ってくるのは魚肉ソーセージの色なんですよっ」ていうから、コピックで探したわけよ。
そしたらピンクだけで何色あるんだよっ!て思って、とりあえずピンクは全種類買ってひたすら試したけど、一つ選ぶならこれだね。
それが 「RV02 シュガード・アーモンド・ピンク」。
シーバスもラージバスもスモールバスも、ばっちし。


夕方のローライトにはチャートリュース色の「YG23 ニュー・リーフ」。
チャートリュースって色もあるけど(YG13)、イワイミノーの素材に塗った時に映えるのはこれ。これだけで冗談抜きで100本以上は買ってるね。


この前の撮影の現場にも100色以上持って行った。
正直色は迷うときもあるけど、迷った時はこの二つだね。必ずタックルボックスに入れて釣りに臨むよ。

コピック岩井渓一郎オススメカラーの画像

岩井さんおすすめカラー一覧



ーコピックABSという簡易エアブラシキットもあるんですが、ぜひ使ってみてください

(試し吹きして)うーん、、僕はマーカーの方が好きだな笑


ー失礼ながら、"この御方本物だ"と感じたことが、使っているカラーは色番号ではなくて、全て色名で記憶していらっしゃっていた点に驚きました。
でも確かにそっちの方が記憶に残りやすいかもしれませんね、盲点でした。
岩井さんも仰っていましたが、上のおすすめカラー表はあくまでイワイミノーの素材にマッチするカラーとなっています。
ぜひみなさまも、使いたい"マイ素材"に合う"マイカラー"を見つけていただけると嬉しいです!