以前取材させていただいた劇団四季さんで衣装に模様を書き込む際にコピックを使われているとのことだったので、布にどの程度コピックが使えるのか、描きやすさ、発色、滲みやすさの3点に絞り比較してみました!

【ご注意】

(※1)染料インクのため、布についた汚れは洗剤で洗っても落とせません。作業時には、必ず汚れてもいい格好やエプロンなどをしてください。もしインクが洋服などについてしまった場合は、クリーニング店に直接ご相談ください。

(※2)コピックはアルコールを含むインクのため肌に直接触れる部分へのご使用はお控えください。

(※3)布に着彩したインクが他の生地へ色移りしてしまう場合があります。色を移したくないものと接触しての保管や、洗濯はお控えください。

FAQ.インクが服について汚れてしまいました
FAQ.コピックの色が肌についてしまいました



今回比較した布はこちらの7種です。比較的衣類に用いられやすい物を選びました。

  1. カラーブロード オフホワイト(綿100%)
  2. コスチュームサテン(ポリエステル100%)
  3. ちりめん(レーヨン100%)
  4. バイリーン芯地(ポリエステル50%、レーヨン50%)
  5. 10号帆布(綿100%)
  6. ナイロンタフタ(ナイロン100%)
  7. フェルト(ポリエステル100%)

このようにそれぞれの生地にコピックスケッチで色を塗って実験します。いずれもコピックスケッチのスーパーブラシニブを使用し、何度か重ねるように塗りました。

使用した色は、ピンク部分→RV55、緑部分→G14、青のグラデーション→B16B12B000です。(コピックのカラーリストはこちらをご覧ください

インクが染みている時は濃く発色されるので、乾くまで少し放置します。
この時点ですでにムラや風合いなど違いが出ていて面白い!

一覧の結果はこちら!

布によってかなり使い勝手が変わりそうです……!
詳しく見ていきましょう。

左から、

●カラーブロード オフホワイト(綿100%)
描きやすさ★★★ 発色★★☆ 滲みやすさ★★☆
一般的な綿100%の多用途生地。全体的に落ち着いた発色で、ブラシの滑りもよく最もグラデーションがしやすかったです。インクの吸収も早く、扱いやすい印象でした。綿特有の温かみのある生地で、風合いのある表現に向いているのではないでしょうか。

●コスチュームサテン(ポリエステル100%)
描きやすさ★★★ 発色★★★ 滲みやすさ★★★
今回試した布の中では一番の発色でした!布の目に沿ってするするとコピックのニブで色を乗せることができました。とてもにじみやすいので、細かい模様を描く際には少しずつ慎重に描き足していくのが良さそうです。

発色が良い紙に描くのと同じような見たままの鮮やかな発色で、インクが細かい繊維に沿って自然と滲んでくれるので、ムラも出来にくかったです。にじみやすさに注意すれば、総合的にとても扱いやすいのではと思います。

●ちりめん(レーヨン100%)
描きやすさ★★★ 発色★★★ 滲みやすさ★☆☆
和装などに用いられる生地自体のテクスチャがとても強い布でした。ただ、ちりめん特有の凹凸のある生地が原因で塗りづらいといったこともなく、綺麗にインクが吸い込まれていく感じでした!

発色は他と比較すると一段階明るく、クリアに仕上がります。布のテクスチャがいい表現となって、ムラのように塗っても風合いのある面白い表現になります。

●バイリーン芯地(ポリエステル50%、レーヨン50%)
描きやすさ★☆☆ 発色★★★ 滲みやすさ★☆☆
パリッとした独特な肌触りのラッピングに向いていそうな布です。繊維を感じる表面と、ややツヤっとしている裏面がありますが、どちらで塗っても見た目の結果に大きな差はありませんでした。布がとても繊維質で、スーパーブラシとの摩擦が起きて毛羽立ちができるなど、少し塗りにくいと感じました。

やや色ムラも出来やすかったですが、この質感を利用して、あえてふわっとしたテクスチャ感を出した仕上がりにするのは面白そうです。

●10号帆布(綿100%)
描きやすさ★★☆ 発色★☆☆ 滲みやすさ★☆☆
こちらはデニムなどに使われる生地です。裏面はキャンバス地のようになっており、どちらで塗っても、結果に大きな差はありませんでした。生地の編み込みが大きいので「インクを染み込ませる意識」を持ちながら塗ると、より扱いやすいかと思います。落ち着いた発色ですが、にじみにくく描きやすいので生地の風合いを生かして様々な表現が可能ではと感じました!

●ナイロンタフタ(ナイロン100%)
描きやすさ★★☆ 発色★☆☆ 滲みやすさ★★★
レインコートのようなツルツルとした質感で、とても薄い生地です。スーパーブラシでもサラサラと気持ちよく塗ることができます。発色は一段階下がりますが、透明感がとても高い印象でした。生地が薄いため後から重ねた色(インク)の影響を受けやすく、グラデーションなどはやや難しかったですが、単色塗りにはとても扱いやすいかと思います。

●フェルト(ポリエステル100%)
描きやすさ★☆☆ 発色★★☆ 滲みやすさ★☆☆
フワフワとした繊維がコピックのニブに絡み、塗るのに少しコツが必要です。こちらの布のみ裏写りがありませんでした。フェルトそのもののテクスチャが強く、インクが繊維の表面に乗ってしまうため、しっかりインクを染み込ませるように丁寧に色を塗ることできちんと着色されます。今回は試せませんでしたが、コピックインク(バリオスインク)を直接染み込ませるなど、工夫次第で楽しめるのかと思います。(続編をお楽しみに…!)

以上、スタッフが独断で選んだ7種類の生地へのコピック染色比較でした。
布も紙と同じように様々な質感があり、ケースに合わせて楽しむことができます。用途に合わせて、ぜひお気に入りを探してみてください。

他にも検証してみて!というご要望がありましたらぜひお知らせください。