アメリカ国内外で絶大な人気を誇るアルコールインクアート作家のアストアリーアート by マリッサ・レッカーさんのインタビューです。日本ではあまり見ることの少ない、大きく色鮮やかな作品は圧巻です。
アルコールインクアートへの想いとホビーショーで飾らせていただく予定だった作品のご紹介、アルコールインクアートにおすすめの色もお答えいただいたので、ぜひ最後までご覧ください!
Astuary Art by Marissa Recker (アストアリーアート by マリッサ・レッカー) インクアーティスト。米、ミネソタ州出身。コピックインクをはじめ様々なインクとミディアムを使い、アブストラクトアートを展開する。インスタグラムのフォロワーは11万人を超え、自身のyoutubeチャンネルではアート制作のプロセスを公開、オンラインクラスも開催している。心の内面を表現するような深みのあるブルーやグレーの色使いが印象的で、偶然性が醍醐味と言えるインクアートの可能性を探求している。 |
日本ホビーショー2021で展示予定だった新作
ー自己紹介をお願いします。
Astuary Artのマリッサ・レッカーです。アルコールインクを使ったアブストラクトアート(抽象画)を制作しています。アメリカのウィスコンシン在住で、絵を描くことが大好きです。もともと物を作ることが大好きでしたが、Astuary Artとして、4年前から活動を続けています。創作以外の時間は、愛する家族と3匹のコーギーと楽しく過ごしています。
ーインクアートを始めたきっかけを教えてください。
友人からアルコールインクアートについて話を聞いたのがきっかけです。その直後、お店でインクを見つけて試したところ、あっという間にその虜になりました。アートをしっかりと学んだのは高校のときだけで、その時の美術の先生が本当に素晴らしい方で、私がアートを志すのを応援してくれました。彼女にはとても感謝しています。
ーどのようなものにインスピレーションを受けますか?
色が惹き起こす感情的なものにインスピレーションを感じます。何か特別な感情やストーリーを感じさせる色が好みです。また季節の変化も重要で、実際、私の色のチョイスはそれぞれの季節感を反映しています。
「Awakening(めざめ)」
ー最新作と過去の作品シリーズについて教えてください。
創作を始めて以来、アルコールインクを常に使ってきました。最初はテクニックを習得するため小さなサイズから制作を始め、徐々に慣れてきたら大きなサイズに移行し、他の画材も併用して、メッセージを込めるようにしています。最新作は、「Awakening(めざめ)」と「Rest (休息)」シリーズです。「Awakening」は、明るく鮮やかなパープルを使い、人々の成長を象徴する力強いタッチで、現在の困難な状況を生き抜く喜びを表現しました。「Rest 」では、深く落ち着きのあるブルーを使って、自分を労ることや省みることの大切さを表現しました。
ーインクアートを作る楽しさは何でしょうか?
色の鮮やかさは、他に勝るものなしと言えます。色が生き物のように動き、流れていきます。インクアートは紙だけでなく、様々なミディアムにも使用できます。色の動きを眺めているといつも新しい発見があり、他のミディアムを使った時、色がどう反応するか、私は常に学んでいます。
ーあなたのインクアートクラスについて教えてください。
私が目指しているのは、インクに関する知識を可能な限り多く伝えることです。自分のyoutubeチャンネルをもっていますが、今後はもっとコンテンツを増やしていきたいですね。また、世界中の生徒さんにZoomでインクアートを教えています。インクアート初心者向け、ミクストメディア、キャンバスに描くインクアートなど、テーマ別のオンラインクラスも始めました。私と生徒さん、一体一でやるクラスもあります。
ーコピックで好きな色は何ですか?
私の大好きな色はこちらです。どれも無色のアルコールと混ぜると美しく色が広がります。
常にお気に入りなTop 9 : RV69, E04, R20, B99, BG78, BV23, V09, RV99, N7
寒色系のお気に入りTop 9: B69, B99, B34, BG72, BG78, G29, BV23, V09, RV99
暖色系のお気に入りTop 9 : R89, RV69, E04, RV95, R24, R20, E19, E99, Y26
私のウェブサイトでコピックインクの色見本を公開しています。ダウンロード可能ですのでご覧ください。
ーどんな紙を使っていますか?
LegionのYupo紙がお気に入りです。最近はキャンバスやリネンを使うこともあります。キャンバスなら Fredrixの水彩用がおすすめです。
ーインクアートにおすすめの道具はありますか?
一番重要なものは、ピペットと無色のイソプロピルアルコール(度数91%のものを使っています)です。次は、ドライヤー(ヒートガン)、メタリックインク、アクリルなどのいろいろな素材です。インクアートの可能性は無限大ですね。
ーインクアートの制作プロセスを教えてください。
インクアートの醍醐味は、作り手の意図と、意図しないインクの動きのバランスをとることです。作り始めの段階でどんなアイデアを持っていても、インクの動きは必ずしもその通りにはなりません。そこで、動きに合わせて、自分のアイデアも変化させるのです。
ーインクアートで大切なこと、うまくいくコツは何でしょうか?
まず肌にインクがつかないように、必ず手袋を着用しましょう。より軽やか空気感を表現するのには、無色のアルコールインクを多く使って、色を押したり引いたりするのがとても重要です。
ーコピックを使い始めたのはいつからですか?
2018年に友達からインクアートを勧められた後すぐです。コピックを選んだ理由は何と言っても豊富な色数です。これほどの色の種類があるブランドはありません。他のブランドのインクも試してみましたが、コピックほど色が美しくブレンドされて広がるものはありませんでした。コピックは私にとってのベストブランドです。
ーコピックインクの使い心地はいかがですか?
コピックインクは本当に素晴らしい製品です。品質の面で言えば、他のブランドは太刀打ち出来ないでしょう。他ブランドではこの色の美しさや動きを表現できないでしょう。それと、いつ新しい物を買っても、コピックは色が一定です。他のブランドでは残念ながら、色が少し異なったり、安定していないものも見受けられます。
ーインスタグラムでは、インクアートをインテリアとして楽しむ方法を紹介されていますね。
私は作品をUVカットのガラスフレームに入れて飾っています。キャンバスで描いた場合は木製のフレームを使います。目を引くような巨大な作品から、小さくてもポップな色使いの作品まで、様々なインクアートを飾ってはいかがでしょう。インクアートは、どんな空間にも合う、落ち着いた存在感があります。いくつかの作品を組み合わせて、グループにして飾るのも良いでしょう。個人的には、3連続の絵にすることが多いですね。
ー今後の活動について教えてください。
私のウェブサイトでは、インクアートを学べるポータルを充実させています。加えて、Youtubeチャンネルでは、作品の制作開始から完了までを録画し、プロセスを解説するアートセッションを行っていて、今後はそちらの活動も頑張りたいと思います。人々にインクアートの魅力を伝える以外では、インクの可能性をもっと探求していきたいです。私は常に何かに突き動かされているように感じます。
ーインクアートをこれから始める方へ、メッセージをお願いします。
私からのアドバイスは、とにかく作るプロセスを楽しむことです。インクはときに思い通りにならず厄介ですが、挑戦する価値はあります。私自身もうまくいかないことが多々ありますが、失敗から学べることも多いのです。挑戦が無駄になることはありません!
こちらの記事はcopic.jpにも掲載されています。